僕のトライ&エラー

肢体不自由の児童生徒が通う特別支援学校の教員である、僕の試行錯誤の記録

視線入力3

昨日、今日と視線入力を試してみた子の話です。

 

その子はレット症候群の子どもです。機器をセッティングして、いざやってみるとなかなかうまく視線の反応が取れません。なんでかなぁ?と思っていたら、レット症候群の特徴の一つ、手揉みが視線とセンサーを邪魔しているのがわかりました。手揉みをする両手を座位保持椅子の天板の上で支えて、視線とセンサーを邪魔しないようにするとうまくいきました。

 

その後、風船割ゲームとか色々と試していると、その子の視野は広く、視線はしっかり風船や興味あるものに向いていることがわかりました。しばらく試しながらその子の様子を観察していると、ひとつのことに気づきました。

 

その子は不随意運動があるのですが、その不随意運動が、首の動き、眼球の動きにもあることがわかってきました。そして、その動きから視線を定めて維持することが苦手なことがわかってきました。

 

おそらく興味のあるものを注視することが苦手なのではないか、と考えられるようになりました。興味のあるものに視線を向けても、不随意運動で眼球や身体が動き、どうしても視線が外れてしまうようでした。そのため注視して維持することが難しいのです。

その子は先日10歳になったのですが、10年間、興味のあるものを見続けることがうまくできないのかもしれません。それって、すごく悲しいことですよね。興味があっても見続けることができないんですよ。

その子は授業とかその他の活動の場面でも、ひとつのことを注視し続ける様子はありませんでした。前で説明する先生の様子も見続けていないことから、「あんまり授業に集中することができない子」と捉えていました。しかしそれは自身の障害からくることなんですよね。そう考えると自分のその子への見立ては甘かったなぁ、と反省しました。

 

視線入力、色々と試していますが、気づかなかったことが色々とわかります。今までの視点では気づかなかったことが多いと感じます。

今日は色々と反省しています。